こんにちは。Zelkova Design 代表の西村です。
本日は我々が住宅事業を行う上で大切にしている「幸せな住まい」を実現するための要素である高気密高断熱について記事にしたいと思います。
今後スタンダードになっていく高気密高断熱住宅ですが、選ぶ際に気をつけるべきポイントもあります。
高気密高断熱住宅が急増する今、住宅選びを失敗しないために
エネルギーや環境問題の深刻化を受け、低炭素社会の実現へ行政が本腰を入れて省エネ住宅を促進する事が決まりました。
これによって多くのハウスメーカーや工務店が高気密高断熱住宅に取り組み始めるようになり、 世のため、人のために有益な事だと思います。私たちの企業理念には「幸せな住まい」というものがあります。住宅の高性能化によって「環境負荷低減」「光熱費低減」「医療費低減」が実現できる住宅を「幸せな住まい」と呼んでいます。 そんな住まいを一邸でも多く増やす事を私たちの「働く価値」としており、 多くの住宅ビルダーが「幸せな住まい」を手掛けることは願ってもないことです。
ですが、高性能住宅は専門的知識と経験が必要となります。高性能住宅は施工のガイドラインが非常に少ないため、 急増していく今後は知識や経験のない会社が施工した場合のトラブル増加が懸念されます。
これから私が発信していく事が皆様の失敗しない家づくりに少しでも参考になればと思います。
高気密高断熱住宅の施工はノウハウ・経験が求められる
私たちは「R+house」という、建築家と高性能住宅を建てるシステムで家づくりをしています。
高気密高断熱住宅を長年施工してきた私たちも、最初はかなり神経を使いました。専門の知識と経験がしっかりしていないと、 温熱効果を得られないどころか、 家中カビだらけになり、木材の腐食からシロアリが発生し易い家になってしまうのです。
私たちの施工のノウハウはR+houseのマニュアルが基本となっています。
当時まだ高気密高断熱の言葉をあまり聞かない時代に、R+houseシステムを発案した方が高気密高断熱への挑戦を始めていました。
その時の成功事例や失敗を元に作成されたのがR+houseの施工マニュアルです。
R+houseシステムのネットワークにおいては施工研修も義務化されており、全国に広がるネットワーク内で情報共有をしながら常にマニュアルはアップデートされています。
高断熱住宅に潜む、床下の目に見えないリスク
今回は高気密高断熱住宅の床下に潜むリスクについて発信していきたいと思います。
実は高断熱住宅において、一番問題が発生しやすいのが床下なのです。
住宅の基礎はコンクリートを使用します。木・コンクリート・鉄の熱伝導率の違い↓
コンクリートは熱を伝えやすい性質を持っていることから、 しっかり断熱をしないと断熱欠損を起こして結露が発生するため、カビが繁殖しやすくなります。
まず断熱欠損を起こさないことは当然のことながら、 断熱する範囲をしっかり決める事が必要です。
床下は断熱したからといって全く冷えないわけではない
我が北摂地域も大阪では冬場は非常に寒い地域です。
そのような地域では放射冷却によって、基礎の外周部から内側に向かって冷やされます。
なので一定距離、ベースコンクリート(床下の基礎です)に断熱が必要になります。 地熱で床下を温める、などの話をたまに耳にしますが、 温泉地でない限り私は否定的です。
以前、一種換気の本体(熱交換率90%)を床下に設置するパターンで、 本体回りの温度をモニターしましたが、 居室空間との温度差が大きく出ました。
床が冷んやりするとまではいきませんでしたが、それでもより快適な住まいとするために、一種換気本体の設置場所を温度の低い床下ではなく、暖かい1階天井に設置する現在の仕様としています。
それからお施主様のレビューは上々でしたので、思わずニヤリと。工務店経営者として、お客様からの評価以上に嬉しいものはありません。
高気密高断熱住宅は常に万が一のリスクに備えることが大切
床下に本体を設置しないもう一つの理由は、 本体から直接給気(空気を出す)する機種の場合、 本体から床下に給気することから、床下の空気と混ざりながら、居室へ送られます。
この場合、万が一床下がカビてしまった場合、 家中にカビの胞子を撒いてしまうリスクがあります。
※本体からダクトを介して居室へ送られる場合は、この懸念はありません。当然床下がカビないために、通気の確保や湿気対策は細心の注意を払って実施していますが、それでも万が一起こりうるリスクへの対策は欠かせません。
高気密高断熱の快適性を最大限引き出し、リスクを最小限に抑える事が大事です。
おわりに
他にも高気密高断熱住宅に長年取り組む中で、工夫している点は多々あります。
同時に気を付けなければいけない事も沢山ございます。例えばこんなことをご存知でしょうか?
基礎はコンクリートで出来ていますが、コンクリートは新設後2〜3年の間に、30坪程度の住宅の場合、およそ2t近くの水分を蒸発します。
日の当たらない床下の空間で、それだけの水分が吐き出されているのです。
なので床下の湿気やカビ対策をしなければリスクを伴う、というわけです。
これはほんの一例ですが、正しい知識を付けて、安心して家を建てたいですよね。
そんな方はお気軽に下記の「家づくり勉強会」にご参加ください。
ご参加いただいた方々には、 先述のような私たちのこだわりによって、どのように住まいの温度や湿度が変わったのか、ご協力いただいたオーナー様の実際のデータ(光熱費データもあり)をお見せしています。
お時間があれば、家全体の注意すべき事もお話しできればと思います。